■この記事を担当している筆者は「当院の院長」になります。詳細はこちら。
アトピーの症例
*症例なので施術効果を保証するものではありません。個人差がありますのでご了承ください。
症例1
【 症例 】 女性 32歳
初検日 2016年○月△日。
■予診票からの情報
・小学生からアトピーがあったが妊娠する前まではさほどひどくなく生活を過ごしてきましたが、妊娠後に症状が悪化し、ステロイドを続けてながら症状をコントロールし出産しましたが、初検日の2週間前に意を決してステロイドを塗るのを止めて鍼治療を受けようと考えました。現在はステロイドを止めたことによる反動で痒みがひどくて眠れないし身体が非常に冷えている感じがするとのこと。
・過去に大きな病気になったことはない。
初検日 2016年○月△日。
■予診票からの情報
・小学生からアトピーがあったが妊娠する前まではさほどひどくなく生活を過ごしてきましたが、妊娠後に症状が悪化し、ステロイドを続けてながら症状をコントロールし出産しましたが、初検日の2週間前に意を決してステロイドを塗るのを止めて鍼治療を受けようと考えました。現在はステロイドを止めたことによる反動で痒みがひどくて眠れないし身体が非常に冷えている感じがするとのこと。
・過去に大きな病気になったことはない。
■東洋医学的所見
食欲:普通だが、食べる量は少ない。小便:6回程度/日。量は少ない。夜間尿はない。
大便:1回/2日。お腹は張らない。便の状態はコロコロ。
睡眠:痒みのために眠った気がしない。
尺膚:ガザガザで引きつっている感じ。
好みの味:甘いものをよく食べている。昔から甘いものをよく食べる。
腹診:右の天枢に硬結。
脈診:全体に沈・細・緩。右寸口が有力。左関上が細・無力・やや緩。
■アトピーが出ている部位の確認
・おでこや顔が所々ぐじゅぐじゅしている・ひっかき傷もあり赤くなっているさらに落屑(粉がふいている状態)がひどかった。
・頚はひっかき傷があり赤くなっている。肘・膝の裏・太腿の内側に掻いた跡が見られる。背中はひどくはないが、赤黒くなっている状態です。
■東洋医学の診断
・ストレスやお子さんの出産などで内臓(肝臓、現代医学の肝臓ではない)の働きが悪くなり、その影響が肺や心に及んだことで症状が出ていると考えました。
腹診:右の天枢に硬結。
脈診:全体に沈・細・緩。右寸口が有力。左関上が細・無力・やや緩。
■アトピーが出ている部位の確認
・おでこや顔が所々ぐじゅぐじゅしている・ひっかき傷もあり赤くなっているさらに落屑(粉がふいている状態)がひどかった。
・頚はひっかき傷があり赤くなっている。肘・膝の裏・太腿の内側に掻いた跡が見られる。背中はひどくはないが、赤黒くなっている状態です。
■東洋医学の診断
・ストレスやお子さんの出産などで内臓(肝臓、現代医学の肝臓ではない)の働きが悪くなり、その影響が肺や心に及んだことで症状が出ていると考えました。
■施術方針
・東洋医学で言う肝臓の働きを改善し、肺や心に影響を及ぼしている熱を取り除き、皮膚の赤みや痒みを改善させます。・患部には皮膚を擦る接触鍼を用いて皮膚の状態を正常に戻すのを促します。
■施術の経過
・初検から23回目までは変化が分かりやすい為に症状と写真を掲載しておきました。4回目の鍼灸施術後
■この頃の状況
4回目終了後には顔の落屑(皮膚に粉がふいていること)と皮膚の赤みは減少。しかし皮膚はまだまだガサガサしている状態でした。
この頃はまだじゅくじゅくした部位はさほどひどくなかったです。
4回目終了後には顔の落屑(皮膚に粉がふいていること)と皮膚の赤みは減少。しかし皮膚はまだまだガサガサしている状態でした。
この頃はまだじゅくじゅくした部位はさほどひどくなかったです。
11回目の鍼灸施術後
■この頃の状況
4回目に比べて落屑(皮膚に粉がふいていること)がさらに減少。
よく見ると頬の部分に艶が確認できる状態にまで改善。しかし最初と比較するとじゅくじゅくした部位が広がってしまった時期でした。
4回目に比べて落屑(皮膚に粉がふいていること)がさらに減少。
よく見ると頬の部分に艶が確認できる状態にまで改善。しかし最初と比較するとじゅくじゅくした部位が広がってしまった時期でした。
23回目の鍼灸施術後
■この頃の状況
11回目までに認められた落屑(皮膚に粉がふいていること)はほぼ無くなりました。
よく見ると右の頬以外は綺麗になってきました。ガサガサした皮膚は少しあり、部分的にですが少し赤黒い皮膚の色があります。
11回目までに認められた落屑(皮膚に粉がふいていること)はほぼ無くなりました。
よく見ると右の頬以外は綺麗になってきました。ガサガサした皮膚は少しあり、部分的にですが少し赤黒い皮膚の色があります。
・なお4回目までが週1回の施術で5回目からは週2回に変更。2回目から千年灸の指導を行い、毎日施灸して頂きました。
〇24回目〜78回目:△日+約10カ月後
頬のじゅくじゅく感もなくなる。皮膚が丈夫になってきたみたいで痒くて掻いてもさほどひどくならない。目の周囲や口の周りのカサつき感が気になっていたが、継続施術でほとんど良くなってきている。ただし、顔色が赤黒い状態になってしまっていて色素沈着が出てきています。ここまでが週2回の施術。
頬のじゅくじゅく感もなくなる。皮膚が丈夫になってきたみたいで痒くて掻いてもさほどひどくならない。目の周囲や口の周りのカサつき感が気になっていたが、継続施術でほとんど良くなってきている。ただし、顔色が赤黒い状態になってしまっていて色素沈着が出てきています。ここまでが週2回の施術。
〇79回目〜100回目:△日+約13カ月後
顔の色の赤黒さは徐々に落ち着いてきている。たまに痒みがひどくなり掻いた傷跡は残ることはあるが、ひどく悪化してしまうケースはほとんどなくなってきています。この頃には週2回もしくは週1回になり症状が比較的安定してきました。
〇101回目〜140回目:△日+約22カ月
週1回でも症状が悪化することはなくなってきている。ただし自宅のお灸はするようにアドバイスするも患者様自身忘れてやらなくなった日が出てきました。それでも悪化することはなかった。この頃、脈を診ていて思ったような脈状になっていないと思い始め、再度肝虚肺・心熱証で良いのかどうか検証してみました。
顔の色の赤黒さは徐々に落ち着いてきている。たまに痒みがひどくなり掻いた傷跡は残ることはあるが、ひどく悪化してしまうケースはほとんどなくなってきています。この頃には週2回もしくは週1回になり症状が比較的安定してきました。
〇101回目〜140回目:△日+約22カ月
週1回でも症状が悪化することはなくなってきている。ただし自宅のお灸はするようにアドバイスするも患者様自身忘れてやらなくなった日が出てきました。それでも悪化することはなかった。この頃、脈を診ていて思ったような脈状になっていないと思い始め、再度肝虚肺・心熱証で良いのかどうか検証してみました。
141回目〜146回目:△日+約24か月(診断の見直しによる再検証の時期です。) ・再検証した結果、胃腸の働きを改善して胆・肝の働きを改善したほうが良いと判断して施術を開始しますが患者様の都合で10日1回もしくは2週間で1回のペースになるもかゆみもほぼなく色素沈着も減りつつあり、さらなる継続で色素沈着もと思い施術をと思っていた矢先に転勤のために治療の継続が困難になり中止になりました。 |
■反省点など
・週2回が理想と初回の時に話をしたが、都合がつかないと言われた際に、自宅で千年灸を勧めるべきだったと反省。なぜかというと治療効果は良く持って3日間なので、あと4日は効果がなくなってしまう状態になってしまうからです。来れない間に千年灸を指定した部位におこなってもらうことで治療効果の継続をすることは可能だったからです。今度アトピーの患者様が見えた時は反省点が改善できるように気を付けます。症例2
【 症例 】 男性 13歳
今回の症例は息子でになりますので予診票の記入はありませんので早速ですが当時の状態を説明した後、施術方針や経過を書いていきます。
今回の症例は息子でになりますので予診票の記入はありませんので早速ですが当時の状態を説明した後、施術方針や経過を書いていきます。
■初検時の状態
・2019年夏頃より乳頭(乳首)の周りが痒みの為に掻いてしまうので近所の皮膚科に連れて行ったところ原因が分からないがステロイドを塗って様子を見て下さいということでしばらくステロイドを塗っていました。しばらくの間、良くなったり悪くなったりと不安定なまま2020年5月頃より背中に丘疹(丘みたいなできもの)が左右同じように出てきているのを確認できましたが、これはステロイドを塗っても改善することはありませんでした。妻が「これ何ともならんから鍼灸で治療してくれ。」ということで8月の初めころより治療を開始することにしました。
■東洋医学(鍼灸)の観点からみた身体の状態
食欲はあるし食べる量も好きなものに限っては良く食べる。尿の回数は6回程度で尿の色や量は特にどうこうといったことはなかったです。大便はすぐにお腹を壊して下痢をするタイプです。睡眠はよく寝ているが、ほぼ毎日、無意識に皮膚を掻いている状況です。前腕内側(尺膚)の状態は特にどうこうっている状態ではないが、脈診をすると全体に滑脈だが右関上が無力で左関上がやや無力で左寸口がやや有力だった。お腹の状態はくすぐったくてよく分からなかった。以上によりこの子の身体の状態は脾胃の働きが低下して気血の生成ができなく、それにより肝臓の働きに影響を及ぼしその結果皮膚に痒みが出てきたと判断しました。
■治療方針
・脾胃の働きを良くして気血を増やすことが1点。肝臓の働きを改善させることが1点。患部周辺には刺絡という特殊な施術を施し患部の熱を外に出し、痒みを軽減することが1点。以上になります。施術頻度は開始早々は週5回でそれから状態を見て徐々に間隔をあけていくようにしました。
■治療経過
・最初の5回(施術開始1週間)で痒みがずいぶん落ち着いてきたが、皮膚の状態は大きな変化は見られない。それから施術開始3週間経過(合計施術回数が13回)で徐々に皮膚表面が悪化してブツブツしたものが増えてきました。これについて現代医学では今までステロイドを使用しその後ステロイドを止めたことによりリバウンドしたためと考えますが、東洋医学では体力が回復してきて身体の中にある不要な物が体外に出てきた証拠になります。さらにこの状態が2週間程度続きましたがその間に施術は6回しました(合計施術回数19回)。施術開始から1か月半頃になるとブツブツしたものが随分減ってきて色素沈着が目立つようになってきましたが痒みの方は随分軽減してきました。施術開始から2か月が経過する頃には週2もしくは3回(合計施術回数25回)には丘疹みたいなものが随分減ってきた感じがあり、色素沈着が少し減ってきたような感じが出てきました。施術開始から約2か月半経過(合計施術回数29回)には痒みはほとんどなく丘みたいな物もなくなりあと色素沈着がとれればほぼOKだねと息子に話しました。2か月半以降は週2・3回から徐々に施術回数を週1回から2回へ減らして約1年経過する頃には週1回のペースで施術した結果、色素沈着もだいぶ減ってきています。もっと継続してきれいな肌になるまで施術していきます。
治療経過の写真をここに掲載します。
アトピー治療開始時
アトピー治療開始3週間後
アトピー治療開始2か月半後
アトピー治療開始約1年後
最初にこれがアトピーと疑いをかけて鍼灸治療をスタートしていたらこんな結果にはならなかったのではないかと反省しています。診断と施術については問題はないと判断しています。もし間違えていたらこのような結果はえられません。
あともう1つは一般のアトピーの患者様と違うのは施術回数と頻度ですね。一般の患者様の倍近くの施術回数をこなしているから回復も比較的早かったと思います。ただ一つだけ言えることは大抵の症状は鍼をやればやるほど効果が得られやすいので皆様にもおすすめしております。
あともう1つは一般のアトピーの患者様と違うのは施術回数と頻度ですね。一般の患者様の倍近くの施術回数をこなしているから回復も比較的早かったと思います。ただ一つだけ言えることは大抵の症状は鍼をやればやるほど効果が得られやすいので皆様にもおすすめしております。
特にアトピーの治療については最低でも皮膚の赤み(炎症)が治まるまではまめに施術をうけられるのが一番の理想になると考えています。