東洋医学の考え方とは?

東洋医学って何?を説明するページです。一般の方から鍼灸学校の学生まで一度読んでみると良いですよ。では下記の「東洋医学について」にある項目をクリックまたはタップすることでその項目までジャンプします。

■総論

東洋医学(鍼灸)には陰陽論・五行論・気血津液・蔵象・四診・治療法・養生法など幅広く範囲を論じています。東洋医学の特徴は自然や環境に人間が合わせて生活した経験をもとにして発展してきた医学になります。

例えば炎症が起きる原因として現代医学では細菌やウイルスもしくは捻挫などが原因で組織の損傷を与えたり異物が体内に入り込みそれを排除することにより起こると考えますが、東洋医学(鍼灸)では気血の流れが悪くなることで患部に熱が発生して炎症を起こすと考えます。どうして熱が発生するのかは皆様、次のようなイメージして下さい。

真冬の寒い時期に、教室の窓を開けっぱなしにしている部屋に30人が1時間いる場合と教室の窓を閉めっぱなしの部屋に30人が1時間いる場合、どちらの部屋が暖かくなりますか。それはもちろん後者ですね。何故なら戸を閉めっぱなしにすると空気の循環がなく、30人の熱量分がそのまま室内を温めるので温かくなりますね、これは皆様が一度や二度経験したことがあるのではないでしょうか。

次に治療法も違います。例えば風邪で熱を出したとします。現代医学は消炎鎮痛剤(カロナール・PL顆粒など)を飲んで炎症を抑えて熱を下げようとします。熱ければ冷ませばよいという考え方ですね。

では東洋医学(鍼灸)ではどうするか、まず風邪で熱を出す原因は主に2つあり、冷えからくるのか熱からくるのかで分別をします。冷えから発熱している場合身体を温めて(例:大椎穴にお灸をするなどで)原因となる冷えを取り除いて熱を下げます。熱が原因で発熱している場合は身体を冷まして(例:少商穴に刺絡をするなどで)原因となる熱を取り除いて熱を下げます。このように同じ発熱でも対処法が変わってきます。間違えて治療したり処方すると症状が悪化してしまいます。

このように東洋医学は様々な環境の中で生活して得た経験をそのまま人体に当てはめて考えて発展した医学(経験医学)になり、現代医学みたいに科学的な分析方法を取って考えていくこととは全く違うわけです。

ポイント1
1.気血津液とは
気

☆「気」とは・・・・

「気」とは元気・やる気・気持ち・病気などたくさん気の付く言葉はありますが、では気って何?って言うと目で見ることはできませんが、生きていくために必要不可欠な物質で各臓腑経絡に対して正常に働かせる作用があると答えればイメージがつきやすいと思います。例えば脾胃(現代医学で言う胃腸に当たります)という臓器がありますが、脾胃の気によって正常に働くことで消化して栄養物質を作ることができます。・脾胃という臓器が肺という臓器まで栄養を送り、肺の気の働きによって栄養物質を身体全身に送ることができます。・肺という臓器と腎という臓器の2つの気の作用によって正常な呼吸ができます・脾胃・肺・腎・三焦・膀胱・大腸・小腸の臓器の気の働きにより汗や大便や小便を作り排出することができます・腎という臓器の気によって体温の維持することなどができるわけです。肺という臓器の気の作用によって鼻や皮膚などからウィルス・細菌の侵入を守ることができます。などなど様々な作用がありますが、何らかの原因によって気の量が減っている(専門用語で気虚という。)とか気の流れが悪くなったりする(専門用語で気滞という)ことで病気になりやすいのです。そして気が無くなってしまうと人間は生命活動ができず死んでしまいます。
血

☆「血」とは・・・・

「血」とは分かりやすく言うと栄養分です。例えば目に十分な栄養があるときは物がはっきり見えます。靭帯や腱に十分な栄養がある時は関節がスムーズに動ごかせます。夜までに肝臓に血が戻りとぐっすり眠れます。心臓に十分な栄養があれば精神異常はきたさず日常生活を正常に暮らせます。皮膚に栄養がある時は皮膚に張りやツヤが出てきます。反対に目に栄養が十分に送られない場合は目がかすんだりぼやけたりします。靭帯や腱に栄養が十分に送られないと関節がうまく動きません。夜までに肝臓に血が戻らないと不眠になってしまいます。心臓に血が送られない場合は動悸や不眠になります。そして皮膚に血が十分にない時は皮膚が乾燥してきます。
ここで注意しなくてはいけないのは、「血」は自分で体内を巡ることはできません。ではどうしたら巡るのかというと先ほどにも書いた「気」の働きが必要になってきます。気の働きで全身に血液を巡らせるわけです。ですから気と血には切っても切れない関係があるわけです。
津液(水)

☆「津液」とは・・・・

「津液」は厳密に津と液に分かれますが、作られる場所は共に脾胃(現代医学で言う胃腸)になります。津液を簡単に言うと身体の水分に当たりますが、働きについては多少の違いがあります。津とは体表を巡らす物質だったり汗腺から汗を出すことものになります。例えば津が過不足なくある時は皮膚に潤いが出てきます・不要な水分は汗として外に排泄されますが、何らかの原因によって津が不足すると皮膚に潤いがなくなりガザガザする、もしくは体内で痰飲(不要な水分)が発生したりします。なお液が十分にある時は関節の潤滑油になりスムーズに動かすことができますが、不足すると動きが悪くなりますし関節部位に炎症が起こる場合もあります。

現代医学で言う代謝・栄養・水分・排泄など人間が生きていくために必要なことが東洋医学(鍼灸)では気・血・津液という3つの言葉で纏められるわけです。
心

1.「心」の現代医学と鍼灸(東洋医学)の説明

【 現代医学で考えられている心臓の働きとは 】

皆様もご存知の通り、身体全身に血液を送るためのポンプになりますね。詳しく書くと、拍動は1分間に約60回〜80回、1日で約10万回以上休むことなく全身に血液を送ります。心臓の大きさは握りこぶし大の大きさで200〜300g程度になります。「心臓は4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)に分れていて、大静脈から右心房に入りそして右心室に入り、右心室から肺動脈に行き肺へ巡り、肺で酸素と二酸化炭素を交換した後、肺静脈を経て左心房へ入り左心室から大動脈に行き、全身に血液を巡らせる」以上が心臓の作用になります。

【 鍼灸(東洋医学)で考えられている「心の働き」とは 】


☆「正常な精神活動を行うための主役」になります。どういうことかというと例えば心臓の働きが正常な場合は人との関わりに支障がなく行えたり、日常生活に不自由のない生活が送れるようになりますが、心臓の働きに異常が生じると@会話が成立しないA突然狂いだし暴れるB普段なら見えないものが見えてしまったり(幻覚)や聞こえないことが聞こえてくる(幻聴)が起こる。C顔つきに精気が感じられなくなるD不眠になるなど精神活動に影響が出てきます。

☆ちなみに皆さんは痛みや痒みや味覚はどこで感じるか知っていますか。現代医学では痛みや痒みや味を感じると脊髄から脳へ伝わり、そこで痛みや痒みを感じます。東洋医学(鍼灸)では実は痛みや痒みや味覚は心臓で感じるんです。例えばとある患者様が腰痛の鍼治療に受けて見えました。一般的に腰痛は患部に鍼灸を施せば大抵の場合、症状は軽減しますが、まれに痛いところだけ施術しても治らない場合があり、そのような時に心臓の働きを改善するツボを使用することで痛みが軽減することがあるのです。もちろん痒みや味覚も同様です。不思議ですよね・・・・。

☆心の臓と小腸には密接な関係があります。現代医学では心臓とはポンプの働きが主体で小腸は栄養の吸収が主な役割ですね。
全く違う働きを示しますが、鍼灸では小腸の経脈は心を絡い、心の経脈は小腸を絡うと12個ある経脈で考えられていて、非常に密接な関係があります。実際、心と小腸に関係がある病理があるわけです。これを心熱下注小腸証や小腸熱が心に上炎したと言いますが、これらは膀胱炎や口内炎に似た症状があった場合に診断されるケースがあります。これもまた不思議ですね。現代医学にはない概念ですから。
肝

2.「肝」の現代医学と鍼灸(東洋医学)の説明

【 現代医学で考えられている肝臓の働きとは 】

肝臓と言えば皆さんがピンときそうな働きと言えば「アルコールの分解を行うこと」になると思います。厳密にいうと少し説明が不足しますので、付け加えると「体内に入ったアルコールや薬を代謝して生じた有害な物質(アンモニア)を毒性の低い物質に変えて尿や胆汁に排泄させること」になります。これを「解毒作用」と言いますが、それだけではありません。その他に「代謝」・「胆汁の生成と分泌」があります。

「代謝」とはヒトは食物などの栄養素をそのまま利用することはできませんので、身体に取り込みやすい状態に分解や合成をして吸収します。その過程を代謝と言います。

「胆汁の生成と分泌」とは「脂肪の乳化やたんぱく質を分解する働きがあり、その働きにより脂肪が腸から吸収されやすくなります。さらにコレステロールを体外に排出させる際にも必要な物質になります。

 鍼灸(東洋医学)で考えられている肝の働きとは 

主な働きは以下になります。
☆肝は血を蔵する。
これはどういう意味かと言うと、肝臓は血液を蓄えることと血液の量を調節する作用があります。例えば日中は人は身体を動かしますね、動かすには血液を必要とするので必要とする分だけ血液を出しますが、夜中は人は眠りますので、血液を多くの血液を必要としないので、不要の血液は肝臓へ戻り蓄えられます。しかし肝臓の働きが悪くなると必要とするだけの血液が送られなかったり、肝臓に貯蔵するだけの血液が足りなくなってしまいます。そうなると肝に関係ある「目」・「筋」に影響を及ぼします。どんな影響を及ぼすかというと「目が乾く・ぼやけて見える・こむら返りが起こる・関節の曲げ伸ばしにくい・手足の痺れ」が出てきます。女性では生理の量が減ったり・生理が来るのが遅くなったりします。

☆肝は疏泄作用がある。
疏泄とは全身の気の動きをスムーズに行うことを言います。気の動きがスムーズに行われると臓腑の働きも正常に行われますが、肝の働きが悪くなることにより臓腑の働きに影響が出てきます。例えば気の動きがスムーズ行われなくなることで血の流れや津液の流れに影響が出ます。それにより瘀血(身体に不要な血液)が生じ、それにより身体に影響を及ぼします。例えば腰に瘀血があれば夜間に腰痛が激しくなります。女性生殖器(子宮や卵巣)に瘀血があれば月経痛や月経不順が起きます。津液の流れに影響が出ると痰飲(身体に不要な水)が生じ、それが身体に及ぼします。例えば肺に痰飲があれば咳と痰が出ます。心に痰飲があれば動悸が起きます。
脾臓

3.「脾」の現代医学と鍼灸(東洋医学)の説明

【 現代医学で考えられている脾臓の働きとは 
皆さん、脾臓ってどんな働きをしているかご存知でしょうか?僕自身脾臓という臓器の働きって何だろうと思いだすと古い血液を壊す臓器しか思い出せませんでした。脾臓が1つだけの働きしかないわけがないので復習を兼ねてネットで調べてみたところ5つほどありましたので説明します。

@乳幼児時期の血球(赤血球・白血球・血小板)を作る働きがあります。A古くなった血球を処分する働きがあります。B血液を蓄える働きがあります。Cリンパ球を作ったり、血液中の異物の処理など免疫に関係する働きがあります。D成人以降で大量出血した際や骨髄の働きが低下した時に血球を作る働きをします。
以上が現代医学で考えられている脾臓の働きです。次に東洋医学における脾の働きを説明します。

【 鍼灸(東洋医学)で考えられている「脾」の働きとは 】

主な働きは@運化作用A統血作用B升清作用があります。
@運化作用とは口からとった飲食を消化また吸収をする働きと水分代謝の働きの2つを指します。脾の働きが正常であれば飲食を消化し栄養成分(気血津液)を得たものを吸収して全身に栄養分を送ることができるので病気にかかりにくくなり健康でいられます。しかし脾の働きが悪くなると消化・吸収・水分代謝が悪くなるので、食欲不振・倦怠感・お腹が脹ってくる・下痢をする・浮腫みが出るなどの症状が出てきます。

A統血作用とはみだりな出血を防ぐ働きを指します。もし脾の働きが悪くなると出血しやすくなるので、下血・尿血・子宮の不正出血が起こるようになります。

B升清作用とは「升」とは脾の気は上に昇る性質があることを指します。清とは栄養物質を指します。@脾胃でできた栄養物質を身体の上部(肺・心など)まであげて全身に栄養を送ることになります。A脾の気は上に昇ることが正常なためその他の臓器を正常な位置に維持する働きがあります。ですから脾の働きが悪くなると身体の上部に栄養がいかないため、めまいが起こる・内臓下垂(胃下垂・脱肛)などの症状が出てきます。
肺

4.「肺」の現代医学と鍼灸(東洋医学)の説明

【 現代医学で考えられている肺の働きとは 】
口から取り込んだ空気を気管に通り、左右に分かれた気管支を通り、さらに細かく分かれ肺胞という組織で、二酸化炭素を排出し、酸素を取り込みます。これを「ガス交換」と言います。この働きがないと人間は生命活動を続けることができない重要な臓器になります。その他の働きは現代医学にはないと考えられています。

【 鍼灸(東洋医学)で考えられている肺の働きとは 】

主な働きは「気を主る」・「宣発・粛降を主る」・「通調水道」・「治節を主る」の4つあります。
4つの言葉が出てきましたが、これでは意味が分かりませんね。分かりやすく纏めますと、「呼吸」・「水分代謝」・「全身に血を送る」以上になります。
「呼吸」は現代医学の呼吸と同じで身体に不要な物質(二酸化炭素に当たる)と身体に必要な物質(酸素に当たる)を取り換えることと呼吸の質(呼吸のリズム・回数など)に関係します。ですから肺の働きが悪くなると息切れなど呼吸に影響がでます。「水分代謝」は肺の働きにより腠理(そうりと読んで、現代医学でいう汗腺に当たる)より汗を出して水分を調整したり、全身の水を腎に送ります。ですから肺の働きが悪くなると水分代謝が落ちて浮腫みがでたり咳や痰が出たりします。全身に血(栄養分)を送るとは脾胃で作られた栄養分は肺まで送られ、肺の気の働きで全身に送ります。ですから肺の働きが悪くなると栄養分が送られないので倦怠感などが起こります。
ソラマメ(腎臓の形に似ている)

5.「腎」の現代医学と鍼灸(東洋医学)の説明


【 現代医学で考えられている腎臓の働きとは 】
腎臓の働きは大きく4つあります。@老廃物や余分な水分・塩分等を尿として排出することで、体内の水分量とナトリウム・カリウムと言ったイオンバランスを調節する働きがあります。ですから腎臓の働きが悪くなると浮腫みやカリウムが高くなります。A血圧を調節するホルモン(レニン)を分泌して体内の水分・塩分を調節することで血圧をコントロールする働きがあります。ですから腎臓の働きが悪くなると血圧が上がります。Bエリスロポエチン(造血ホルモン)を分泌して赤血球を作る働きがあります。ですから腎臓の働きが悪くなると貧血になります。CビタミンDというホルモンを分泌して骨を丈夫にする働きがあります。ですから腎臓の働きが悪くなると骨がもろくなります。
以上が現代医学で考えられている腎臓の働きです。次に東洋医学における腎の働きを説明します。

【 鍼灸(東洋医学)で考えられている腎の働きとは 】

大きく分けて4つあります。
@精を蔵す。
これはどういう意味かというと、ヒトの成長と生殖器の働きに関係します。腎臓の働きが正常だと発達の状態も人並みに発達していくし、老け込みにくくなります。そして生殖器の働きもよく生殖能力も高くなります。反対に腎の働きが悪くなると発達障害がおきたり、早老になったり、精子・卵子の状態に影響が出て不妊の原因になります。
A水を主る。
これは肺や脾と同様、水分代謝を主りますが、膀胱に送られた水分はそのままでは外に排泄できないので腎の働き(気化作用)によっておしっこ(尿)として排出させる作用があります。腎の働きが悪くなると浮腫みが起きます。
B納気作用があります。
簡単に言うと深呼吸に関係します。深呼吸は肺の働きに加えて腎の働きがなければできません。腎の働きが悪くなると深呼吸ができません、呼吸が浅くなります。
C骨を主る。
腎の働きが正常ですと骨の発育が良く丈夫でいられますが、腎の働きが悪いと骨折しやすかったり骨がもろくなります。

以上で腎の働きについて現代医学と鍼灸(東洋医学)について説明しました。腎については似たような働きがありましたね。

【 まとめ 】
これで五臓の説明は終わりになりますが、現代医学でも鍼灸でも五臓の働きに違いはありますが、どちらの医学でも五臓の働きが悪くなると生命活動に影響が出てしまうぐらい大事なところになりますね。

東洋医学の診察方法(四診)についても説明します。

東洋医学の診察法は独特です。現代医学で言う血液検査やレントゲンを取って画像診断するわけではありません。以下の5つの方法を基本として診察を行います。
顔色を見る

@「顔の状態」の説明をします。


顔の状態で何を確認するかと言うと、「顔色が良いか悪いか」、「艶が有無」、「クマの有無」、「唇の色」などがあります。
顔色が良いとか艶があるかないかとかクマができているとかは一般の方でも何となく見ていればある程度は分かると思います。では唇の色はどうでしょう?現在、コロナ禍でマスクをしていますのでほとんどみる機会がないと思いますが、東洋医学(鍼灸)では重要です。例えば唇の色が薄い場合ですと血色が悪い状態になりますので、鍼灸で言うと血の不足が原因だと想定できるわけです。なら唇の色が黒っぽい色だと身体に不要な血液(瘀血)がある状態だと想定できるわけです。
舌を見る

A「舌の状態」の説明をします。

舌を見ると言うと、ユーザーの皆さんは舌の上にある垢の有無を確認することかと思うかもしれませんが、実は違うんです。舌から得られる情報はたくさんあります。例えば「舌の淵の色が薄い時は気血不足が考えられます」し、「舌の上のある垢は水はきが良いか悪いかをみる所になります」し、「舌の色が紫色の場合だと瘀血(身体にとって不要な血液)がある状態」し、・「舌の淵に歯の痕がある場合だと痰飲(不要な水分)がある状態」・「舌を出した時に舌の先がまっすぐ出なく、右もしくは左に偏って出てくる場合があります。これは脳梗塞など脳血管障害によく見られる状態になります。」など想定できるわけです。
腹診

B「お腹の状態」の説明をします。

お腹は何の診断に役に立つかと言うと身体に不要な物(水や瘀血)が多い時にお腹の筋肉に抵抗が出たりとか反応部位を押さえると痛みが出たりします。そして鍼又はお灸をすることでお腹の筋肉の抵抗が減ったり、反応部位を押さえても痛みが減るってきます。そうなることで体内にある不要な物を排出を促します。
脈診

C「脈の状態」の説明をします。


手首の脈を診ます。やり方は上の写真で言うと患者様の左手に貼ってある赤いシールに施術者の右手の人差し指を、青のシールに施術者の右手の中指を、黄色のシールに施術者の右手の薬指を当てます。
脈は何に役に立つかと言うと、全身の体力の有無や身体が熱っぽいとか冷えている状態の判別やどの経絡に異常があるのかを判別するのに非常に役に立ちます。例えば全身の体力がない場合は脈全体の力が弱くなります。これを無力の脈と言います。身体に熱がこもっている場合は脈が速くなります。これを数脈と言います。身体が冷えている場合は脈が遅くなることが多いです。これを遅脈と言います。身体の水はきが悪い時や妊娠中は滑脈になることが多いです。血行が悪い場合はザラザラした脈になることが多いです。これを渋脈と言います。脈を診ることで身体の状態もある程度は把握できるわけです。
問診

D「患者様の身体の状態を尋ねる」の説明をします。

先ほどにも書きましたがこれは現代医学で言う問診になります。東洋医学(鍼灸)では10個程度聞く内容がありますが、臨床上で最低4つの事項は確認しないといけません。それら4つは何かというと「飲食について」・「小便について」・「大便について」・「睡眠について」になります。飲食については喉が渇いていれば一般的に体内に熱がこもっている状態になりますし、三食良く食べる場合は一般的には胃に熱がこもっている状態になります。小便については1日に何回もトイレに行くが尿量が多い場合ですと、身体が冷えていることが原因のことが多いです。大便については便秘気味だと瘀血が原因が多いです。下痢だと身体の冷えもしくは熱がある場合が原因があります。
睡眠については夜中目が覚める・朝4時頃目が覚める・寝つきが悪い場合は一般的に心臓に熱がこもっていることが原因だと考えられています。

以上のように患者様の個々の状態によって得られる情報が違います。それらの情報を取捨択一していき「証」(現代医学で言う診断)を決め、個々の体調・体質に合ったツボを選び、鍼灸施術していくわけです。

東洋医学の治療法についても説明します。

東洋医学(鍼灸)の治療は「予防」と「治療」の2つに分けられます。予防はその名の通り病気の予防になります。治療は病気になってから行う処置になります。
4.東洋医学(鍼灸)の治療法
予防

■鍼灸治療による予防について

現代医学で言うワクチンなどの予防接種とは違います。ワクチンは原因となるウィルスや細菌を弱毒化するもしくは無毒化にしたものを注射したりすることで病気の発症と症状の重症化を抑える働きがあります。これは2021年上半期でよく耳にした新型コロナのワクチンも同じです。鍼灸で言う予防とはどんなことかと言うと、例えば肝実(肝の働きが亢進している状態で現代医学で言う「肝臓」とは違う働き)という身体状況であったら、脾(胃腸)に影響を及ぼすことが多いので、脾の働きを強くして肝から働きの影響を受けさせないようにする。これが予防に当てはまります。
これを現代風に例を挙げて言うとストレス(肝)により脾(胃腸)に影響(胃炎や胃潰瘍または胃の穿孔)が出るので、そうならない為に脾(胃腸)の働きを良くすることになります。この場合ですと足三里穴や太白穴などの胃腸の働きを強くするツボを使用します。そして行間や曲泉など肝の働きを抑えるツボを使用します。

治療法

■鍼灸治療における治療について

治療は以下の3つが原則になります。
@虚すれば補い、実すれば瀉す。
虚とは働きの低下もしくは物の不足を言います。実とは身体に不要な物があるもしくは働きの異常亢進を言います。
補うは働きを良くするもしくは物を補うことを言います。瀉すとは身体に不要な物を排出するもしくは働きを抑えることを言います。
これを訳すと「働きが悪ければ働きを良くし、物が不足すれば物を補う。身体に不要な物があれば不要な物を排出し、働きが異常に亢進している場合は働きを抑える」という意味になります。

【 例 】
⑴脾虚という状態であれば脾の働きが低下した状態ですから働きを良くする治療をするわけです。
⑵瘀血という状態であれば身体に不要な物(ここでは血液)ですから瘀血を排出する治療をするわけです。
⑶寒邪という状態であれば身体に不要な物(冷え)ですから温めて冷えを取る治療をするわけです。
⑷熱邪という状態であれば身体に不要な物(熱)ですから身体を冷やして熱をさます治療をするわけです。

このように@の原則に従い鍼灸治療を行うことで全身調整が出き、病気の改善のための土台ができるわけです。

A局部治療
局部治療とは患部への治療を指します。例えば腰痛であれば腰にあるツボ(腎兪・志室・大腸兪など)を使い鍼や灸をします。顔面神経麻痺であれば顔のツボ(承泣・四白・巨髎など)を使い鍼灸をします。鼻づまりであれば鼻の周辺にあるツボ(迎香など)を使い鍼灸をします。肩こりであれば(肩井・肩髎・風池など)を使い鍼灸をします。これによって患部の血行が良くなり、患部の症状の改善ができるわけです。
これは病院の治療でも良く行われることですね、鼻水が出れば鼻水を止める薬を出しますよね。皮膚が痒ければかゆみ止めの薬を出しますよね。

B急すればその標を治し、緩すればその本を治す。
この「急」とは「緊急」という意味です。「標」とは症状を指します。
そして「緩」とは緊急ではないという意味です「本」とは病気の原因を治すことを指します。
ではここで言う緊急性のある症状とは何かと言うと、何らかの原因で大便や小便が出ないなどは命に関わる症状です。
これを訳すと「何らかの原因で大便や小便が出ないなど緊急性のある症状はまず緊急性のある症状から治療をし、緊急性のない場合は病気の原因から治療をする」という意味になります。
現代医療でもありますよね、交通事故などで命に関わる場合は骨折の治療をする前に命を救う治療から開始しますね。それと同じです。

実際の臨床では@の「虚すれば補い実すれば瀉す。」とAの「局所治療」を組み合わせて施術するのがほとんどです。当院もほとんどのケースでこのやり方で施術しています。まれにですが、@の虚すれば補い実すれば瀉すだけで症状の改善することはありますが・・・。

養生 東洋医学では治療だけでなく養生(日頃より注意して生活を過ごすこと)で病気を予防できると考えています。
これは現代医学でも同様な考え方がありますね。例えば肥満であれば摂取カロリーよりも消費カロリーを増やせばいいから運動をしましょうとかありますね。では東洋医学ではどんな点に注意して生活していけば良いか説明します。

⑴飲食について

日常生活において・・・・
普段の生活では、冷たい物・冷やしたもの・生ものを取りすぎないようにして、胃腸に負担をかけないようにすれば問題はありません。穀物・肉類・魚類・野菜類・果物類をバランスよく食べて頂ければ良いです。

病気の時・・・・
身体に熱の症状(喉が渇き飲む・身体が火照る・便秘する・尿量が少ない・暑くて眠れない・食欲が旺盛・顔が赤いなど)がある場合は脂っこいもの・揚げ物・味が濃いもの・辛い物を控えて下さい。
身体に冷えの症状(喉が渇かない・寒気がする・下痢する・尿量が多いなど)がある場合は冷蔵庫で冷やした食べ物や飲み物・生ものを食べるのは控えて下さい。

⑵適度な運動が大事です。

現代医学でも運動は非常に大事だと考えられていますが、東洋医学も同様です。
ただ運動強度は気を付けて下さい。ただやればいいもんではありません。やりすぎは血虚(血の不足)で筋肉の引きつりや関節の痛みが出る原因になります。目安としてじわっと汗がでるくらいの運動量を週3回とか行って頂けると良いです。お勧めな運動は太極拳・気功・ヨガや水中歩行が良いですね。

⑶ストレスと上手に付き合いましょう。

現代社会ではストレスは避けて通れません。ストレスの原因が解決できることであれば解決して下さい。できないことであれば自分の趣味を十分に活用してストレスを発散し上手に付き合ってください。ストレスのかかりすぎは身体に良くありません。

⑷漢方薬や自分でお灸をするのも大事です。

日頃より体調管理の一環として漢方薬局で漢方薬を処方して飲むことや「足三里」など養生のツボを鍼灸院で指導して頂き自分でお灸をすえるのも養生としては良いです。
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