■この記事の筆者は当院の院長が書きました。院長プロフィールはこちらへ。公開日:2022年10月19日 更新日:2024年8月28日

【 解説 】 五十肩

肩の痛み

■当院の施術目標はよく耳にする自然治癒(約1年、個人差があり数年苦しんで治る方も見える)よりも早く改善させることになります。


・五十肩は約1年ほど経過する頃にはたいていの方は自然に治っていきますが、現実問題、1年も肩が痛いとか肩が上がらなくて生活に支障が出るとか夜も眠れないくらい辛いのは極力避けたいですよね。
・当院では辛い痛みが1年も続かないように適切な施術を行い、平均週2回程度で半年通院される頃には辛い痛みからの解放・肩の関節可動域(肩が動かせる範囲)が正常近くにもっていくことが目標になります。

少しでも早く辛い症状が取れることで得られる患者様のベネフィット(利益)は何か、それは・・・
@日常生活で普段通りの生活が過ごせるようになれます。
(例)・痛みで寝られないことがなくなり安眠できますね、眠れないのはつらいですよね。服の脱着も手伝ってもらう必要がなくなりますね。

A仕事の効率が良くなり健康の時同様の働きができるようになります。
(例)・肩が痛くて頭上にあるに荷物が取れず同僚に取ってもらわなくてはいけないことがなくなった。

B趣味を楽しめるようになります。
(例)・肩があまりに痛くて楽しむことができなかった趣味を楽しむことができるようになった。
などの利益が生まれますよ。

なお五十肩による辛い症状で悩んでいる方でもっと詳しく知りたいなと思う方は続きを読んでくださいね。
医師 説明

■現代医学では・・・

【 原因 】
・いくつか原因があります。
@腱板炎:腱板と言うインナーマッスルの筋の炎症が起こる場合。
A上腕二頭筋長頭腱炎:力こぶで有名な上腕二頭筋の一部に炎症が起こる場合。
B腱板疎部炎:肩の前方の膜や靭帯からなる部位に炎症が起こる場合。
などがありますが、では何故、五十肩が起こる理由は今のところ明らかにされていません。
【 症状 】
・典型的な症状として「どの方向も腕が挙げられない」ことです。その他、「夜中に痛みが出て眠れない」ことです。五十肩の初期は肩の前の方が痛いと訴えられることが多いです。非典型的な症状としては五十肩初期でも痛みはないが腕が上がらないとかいつまでたっても痛みが取れないとか様々です。

【 五十肩以外で肩が痛い時もあります。 】
・それは「腱板断裂・損傷」です。高齢の方に多く、知らないうちに腱板損傷や断裂してしまうことがあります。
・腱板損傷・断裂の他、変形性肩関節症や首の椎間板ヘルニアでも起こる場合がありますし、まれですが内臓の病気から痛みがくる場合もあります。
整形外科の他に内科での診察が必要な時もあります。

【 治療法 】
・炎症が強くて肩に激しい痛みがあり夜眠れない場合はまずは炎症を抑えることが大事です。炎症を抑えるにはステロイドもしくは非ステロイド系の消炎鎮痛剤が良いです。ただしステロイドを使用する際には肩関節の組織に悪影響がでる場合があるので注意が必要です。
・次に炎症が落ち着いてきたらリハビリです。
リハビリで注意しなくてはいけないのは「無理して可動域を広げ過ぎないこと」・「過度なリハビリです。」いずれも関節に炎症を起こしてしまう可能性があるので「徐々にそして少し痛いなと思う程度まで動かす」ことを意識して下さい。
・リハビリでも良くならない五十肩の場合、手術する方法もあります。詳しくは整形外科医に相談して下さい。
鍼治療

■鍼灸では・・・

【 原因 】
・鍼灸では自然界に存在する体に不要な物質(邪気と言い、風邪・湿邪・寒邪の3つの邪気)が肩関節に侵入することで気血が肩関節上を通る経絡を巡らないことで五十肩になると考えます。(東洋医学では気血が巡らなければ痛むが生じると考えられているからです。)
【 施術方針 】
@早期に五十肩が改善できるように体調を整えるために、内臓(特に肝・脾・腎)の働きを良くします。
A首や肩周辺の凝り固まった筋肉(扶突穴・天窓穴・風池穴など)を鍼で緩めて血行改善をして症状の改善を目指します。
B関節可動域を改善するために痛みの最も強い部位の反対に鍼を刺したままにしておいた上で肩関節を動かして頂きます。そうすることで徐々に関節可動域が改善されることが多くなります。*注意点として体力がない方にこれを行うと気分が悪くなることが多いのでその時は別の方法で行います。
Cなお夜中に強い痛みがある場合は夜中の痛みを軽減することから始め夜中の痛みが軽減してきたら如期の方法で五十肩の改善を目指します。

【 施術経過 】
・施術の頻度と回数・筋肉の萎縮のあるなしにより経過は変わりますが、経過は良くなるまでに時間はかかりますが、良好なことがほとんどです。
【 セルフケア 】
・効果には個人差がありますが、院長が考えるセルフケアとして4つのツボを提示いたします。
太衝(たいしょう)穴
太衝穴
・肩を挙げた際に引きつったような痛みがあり、十分な肩関節の動きがない場合は「太衝穴」をお灸で温めると良いです。太衝穴は肝の働きを調整するツボで、筋の病気(引きつったような痛み)に効果が期待できます。お灸を止める目安は温かいと感じるか、皮膚が赤くなることです。くれぐれもやり方に注意して下さい。
扶突(ふとつ)穴
扶突穴
・扶突(ふとつ)穴。このツボは側頸部にあり、所属する経脈は大腸経になります。
五十肩は肩関節の痛みになりますが、首のコリにも五十肩に大きな影響を与えます。首のコリを取る一つの方法として扶突穴が良いです。軽くマッサージをするもしくはせんねん灸で温めると効果が期待できます。刺激の与えすぎには気をつけてください。
肩貞(けんてい)穴と
臑兪(じゅゆ)穴
肩貞穴・臑兪穴
・肩貞穴・臑兪穴は小腸経という経脈のツボになります。これらはいくつかある五十肩のツボで比較的効果が高いツボになります。やり方としては、灸で温めたり、ツボを押したりします。注意点としてやり過ぎないようにしてください。やり過ぎは却って悪化する原因になります。

【 詳細ページ 】
・東洋医学の考え方

■まとめ

・五十肩は時間がかかりますが基本は治る症状です。状態に応じて鍼灸や薬(ステロイドやロキソニンなどの痛み止め)で痛みをコントロールした上で、筋萎縮や関節拘縮をおこさないよう運動療法を加えていくことが基本の流れになります。
・まれにですが、内臓疾患からくる五十肩もありますのでなかなか改善されない場合は一度内科の診察も必要になってきます。
・急性期で炎症があり、その程度によっては、まずは病院で炎症をある程度抑えてもらってから鍼灸治療を始めた方が良いことがあります。
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