■この記事の筆者は当院の院長が書きました。院長プロフィールはこちらへ。公開日:2024年7月29日

腎炎の施術について

腎臓病

■当院の鍼灸施術の目標は「腎機能の維持と腎臓の炎症によって影響の出る症状の改善」です。


当院の目標1つ、「腎機能の維持」ですね。
これは、とても大事で機能が悪化し続けたら最悪、透析か腎移植しかありません。そうならないように定期的な施術して腎機能の維持を目指します。

当院の目標のもう1つ、「腎炎によって影響の出る症状の改善」ですね。
これについて詳細は下記で挙げますが、「倦怠感・手足のしびれ・食欲不振」等があります。
これら腎炎によって出た症状になりますので、これらを鍼灸で改善を目指します。

施術目標を達成できること得られる患者様の利益
・強い倦怠感があったのが、日常生活ではそこまで苦にならなくなり、動けるようになった。
・食事をおいしく食べれるようになった。
・血色が非常に悪かったのが血色が良くなってきた。
等になります。

当院の施術は慢性腎炎が中心になります。急性腎炎は早く治ることが多いので病院での治療が望ましいと考えています。

もう少し詳しく知りたい方は続きを読んでください。現代医学と鍼灸の考え方を説明していきますからね。
説明

■現代医学では・・・


●腎炎とは
・腎炎とは「急性糸球体腎炎」と「慢性糸球体腎炎」に分かれます。

・まず「急性糸球体腎炎」についてです。
急性上気道炎を中心とする感染が原因で10日前後の潜伏期間を経て、血尿・蛋白尿・尿量減少・むくみ、高血圧を発症する一時的な急性の腎臓の炎症を言います。
・急性糸球体腎炎の治療は感染の治療を中心に行うことで腎機能の回復が見込めますが、尿量減少などの症状がある時は入院治療をします。早期に適切な処置をすることで完治する可能性が高いので、鍼灸の施術よりも病院で処置をしていただいたほうが良いと当院では考えます。
・次に慢性糸球体腎炎についてです。
 ここでは慢性糸球体腎炎の中でも最も多い「IgA腎症」について説明します。

■IgA腎症とは
・概要
血液を綺麗にする腎臓の糸球体という組織に慢性的な炎症が起きることにより「血尿」と「蛋白尿」を認める病気です。IgAとは本来体を守るための免疫物質の1つで「免疫グロブリンA」の略です。風邪の細菌や扁桃腺炎の影響によりIgAの違うタイプが現れて、糸球体に沈着し炎症を起こす。比較的に若い方に多く見られる病気です。

・症状
・むくみ、だるさ、食欲不振、吐き気、手足のしびれ、小便の回数が増えるなどの身体症状の「血尿」で始まり「蛋白尿」はあまり目立たないです。
血尿は顕微鏡でみないとわからない顕微鏡的血尿と目で見てわかる肉眼的血尿がありますが、IgA腎症はどちらでも起こります。IgAの典型は上気道感染後の肉眼的血尿が出現する場合に当たります。

・治療法
まずは扁桃腺の摘出をする、その後ステロイドパルス療法をします。

・食事療法
治療だけでなく栄養についても注意が必要です。
腎臓の病気がある方は「タンパク質」・「ナトリウム」・「カリウム」のコントロールが必須になります。
ナトリウムは塩分を、蛋白質は取りすぎない(目安は体重1sあたり0.6〜0.7g)ように注意を、カリウムは野菜類に豊富に含まれているので野菜を切った後に流水で流すもしくはお湯で流すことでカリウムを減らすことができます。1日の摂取目安は1500r以下にして下さい。
鍼灸治療

■鍼灸では・・・・


・腎臓の炎症を抑えるというより腎臓の炎症によって出た症状を改善するのが目標。

鍼灸では腎炎という病気はありません。腎炎によって発症する症状(尿量減少・むくみ・食欲不振・だるさ等)に当たり、症状の改善を目指すことが第一の目標になります。
●原因
ストレス・飲食不摂生・体調不調を押して無理をした等により内臓の働きが悪くなったことにより、臓器が正常な働きをすることができずに体内の老廃物(不要な血液・水分等)が溜まることで発症すると考えます。

●施術方法
・五臓六腑の働きを改善及び調整をする。
五臓六腑の働きを改善及び調整することで健康な状態に戻し、老廃物の排出を促進させます。
・体に不要な水分・血液の排泄を促します。
内臓の働きを改善するだけでは不十分なので、別途不要な水分・血液が取り除けるように施術を行います。
・症状に応じて体の筋緊張を改善できるように施術を行います。
(例)肩が凝って体がだるい場合は肩の凝りを探して針灸施術をします。
(例)ふくらはぎが痙攣するときは足の凝った部位に鍼灸施術をします。
・体力が落ちていることが多いので体に優しく刺激(接触鍼)を中心に行います。強い刺激は症状の悪化につながります。

●経過
・腎臓病によって発症する症状は定期的な施術で改善が期待できます。目安は週1回以上の施術を3か月続けることです。腎移植・透析を極力したくないと考えて見える方は週1回以上の施術を継続して行うことで腎移植・透析の時期を延ばすことは期待できます。

●過去に施術した例
・風邪をこじらせたせいで腎臓の病気になった患者様。週1回の施術を1年ほど続けて指先から前腕の違和感がなくなり、2年ほど続けたら倦怠感も改善して顔色も良くなってきました。この患者様のご家族からみても当院で施術を受ける前と後では身体状況が良くなってきているとお話しされています。24年7月現在も通院中で初検日より5年半継続中です。
・24年6月より通院されたIgA腎症の方。
ひきつりと倦怠感があったが週1回から週2回以上の施術で約1か月経過した24年7月にはこれらの症状は軽くなったとのこと。
セルフケア

■セルフケアについて・・・


・当院でおススメするセルフケアは「お灸によるツボのケア」と「食事療法」になります。

@お灸によるツボのケア。
院長が良いと考えるツボを3つ挙げてみます。

〇足三里穴
足三里穴
足三里(あしさんり)穴は胃経のツボになります。このツボは胃腸の働きを改善が期待できます。胃腸の働きを改善することで内臓の働きを改善することに加え栄養も改善することが期待できます。つまり足三里だけで病気の予防も期待できるわけです。
陰陵泉穴
陰陵泉穴
陰陵泉(いんりょうせん)穴は脾経のツボになります。このツボは体内に溜まっている不要な水分の排泄促進が期待できます。腎臓の働きが悪く水の排泄は良くない場合には重要なツボの1つになります。
〇液門穴
液門穴
液門(えいきもん)穴は三焦経のツボになります。このツボも陰陵泉同様、水の代謝の促進が期待できます。腎臓の働きが悪く水の排泄が良くない場合には重要なツボの1つになります。
次に食事についてです。
A東洋医学の観点からみる食事療法について
・東洋医学では医食同源と言って食事も重視しています。
 先ほど説明しましたが、内臓の働きを改善して体力をつけること・体内に溜まった不要な水分や血液を排泄することの2点が大事になります。

・五臓六腑の働きを改善するには「うるち米・さつまいも・大豆・人参・さば・うずらの卵」等を多めに摂取するといいですね。
・不要な水分を改善するには「ハト麦・キャベツ・いんげんまめ」等を多めに摂取するといいですね。
・不要な血液を改善するには「さんま・黒米・すもも・ブルーベリー・カカオ」等を多めに摂取するといいですね。
カリウムが豊富な野菜類があるので調理する際には水で洗い流す等処理をして下さいね。
【 詳細ページ 】
・東洋医学の考え方 【 参考文献 】
・薬膳食典食物性味表|日本中医食養学会

まとめ

・腎炎には急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎(IgA腎症)の2つに分かれますが、急性は病院治療を中心に行えば慢性に移行することは少なく、慢性は病院治療と鍼灸を併用することで、数値の安定化と症状の改善が期待でき、鍼灸施術を継続することにより腎移植・透析を時期を延ばすことも期待できます。

・腎炎は治療だけでなく塩分・タンパク質・カリウム等のバランスのとれた食事をとる他に疲れを溜めない・ストレスと上手に付き合うことも重要です。つまり養生が今後の経過に大きく影響します。

・東洋医学の医食同源は科学的な観点(腎臓病の場合、現代医学ではカリウムやナトリウムを多く含む食品)で説明しているわけではないことに注意して下さい。あくまで東洋医学的観点でみていますので・・・。
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