■この記事の筆者は当院の院長が書きました。院長プロフィールはこちらへ。公開日:2022年12月16日 更新日:2024年6月26日

【 解説 】 高血圧

血圧

■はじめに・・・

・血圧が高いって過去に言われたことのある方、どんな方に多いでしょうか?それは加齢によって血管の弾力がなくなってきた他に、生活習慣により肥満や運動不足の方が多いですね。実際、厚生労働省によると20歳以上の二人に1人は高血圧なんだそうです。
高血圧自体はどうこうないのですが、高血圧が原因で起こる病気もありますので注意しなくてはいけませんね。
現代医学では様々な治療法がありますが、鍼灸では治療が可能なのかどうかなんですが、「治療は可能です。」ではもう少し詳しく現代医学と鍼灸との両方から説明します。

医師 説明

■現代医学では・・・

【 高血圧症とは 】
漢字の通り「血圧が高い」状態になります。ただ1回計測しただけで血圧が高い場合を高血圧とは言わずに何回も繰り返し計測して血圧が正常より高い数値を高血圧と言います。基準値として最高血圧が140以上、あるいは最低血圧が90以上が高血圧と診断されます。(ちょっと厳しい感じもしますが・・・・)
【 高血圧の種類 】
・高血圧には2種類あります。
1つが「本態性高血圧症」、もう1つが「二次性高血圧症」になります。

・「本態性高血圧症」とは
 原因が不明で、生活習慣に関係して発症すると考えられています。高血圧の9割はこれになります。原因としていくつか挙げられます。
@過剰な塩分接種・A肥満・Bストレス・C運動不足・D野菜不足などがあります。

・「二次性高血圧症」とは
 体内に血圧上昇の原因となるはっきりとした病気がある時を言います。例えば原発性アルドステロン症など。
【 高血圧から起こる病気とは 】

・血管壁は本来弾力性があるのですが、高血圧が長く続くことで絶えず血管が張り詰めた状態に置かれることで次第に厚く、硬くなってきます。これが高血圧による動脈硬化です。

・動脈硬化は大小の血管に拘らず起こるので、脳血管障害・大動脈瘤・腎硬化症・心筋梗塞などの原因になります。また心臓は高い血圧に負けないよう無理をするようになりそれにより心肥大が起こり、心不全になることもあります。
【 日常生活での注意点 】
  • チェック
    塩分の取り過ぎには気を付けて下さい。
    ・塩分を取り過ぎると体内に水分が溜まり、血液量が増えるので、それにより血圧が上がります。1日6グラム未満を目安とすると良いでしょう。
  • チェック
    寒暖の差には気を付けて下さい。
    ・温かい所から急に寒い所へ行くと血管が収縮し血圧が上がります。特に冬は寒暖の差が大きくなるので室内と外気の温度差をなるべく小さくしてください。
  • チェック
    冬の入浴時は要注意です。
    ・冬は注意が必要です。入浴すると身体が温かくなり血管が広がり血圧が下がりますが、お風呂から出た時は寒さで血管が収縮します。そのために急に血圧が上がりますので、Aと同様注意が必要です。
  • チェック
    便秘には注意して下さい。
    ・いきみが長いと血圧は上がります。スムーズに排便できるように普段から便秘にならないよう予防して下さい。具体策として
    〇便意がなくても決まった時間にトイレに行く。理想は朝食後になります。
    〇食物繊維を多めに摂取するようにします。
  • チェック
    睡眠・休養はたっぷり取って下さい。
    ・睡眠不足は身体の疲れを貯めてしまいます。そして自律神経の働きも悪くなってしまいその結果血圧が上がる原因になります。休養することも大事です。休みもなく働き続けることはストレスが増えるし疲れもたまり、血圧上昇など身体の様々な影響を及ぼします。
  • チェック
    タバコ・アルコールにも注意して下さい。
    ・タバコは血管を収縮させる作用の他に動脈硬化の原因にもなります。動脈硬化は血圧上昇の原因の1つになります。
    ・アルコールはほどよく飲むのが良いです。飲みすぎは血圧上昇だけでなく肝機能も悪くします。
  • チェック
    肥満にならないよう気を付けて下さい。
    ・肥満は血圧上昇させるだけでなく、動脈硬化を進める可能性があります。
鍼と灸

■鍼灸では・・・

【 高血圧という言葉はないです。 
・2000年以上前からある鍼灸治療ですが、高血圧という言葉は残念ながらないのです。ただ高血圧が原因で出てくる症状として「めまい」・「肩こり」・「目の充血」などを鍼灸や漢方で治療したら原因の高血圧が安定してきた結果として上記の症状も取れたという感じになります。
【 鍼灸で考える血圧安定の定義について 
・血圧が安定している時の身体の状況は「身体を冷やす物質(「陰」と言う)」と「身体を温める物質(「陽」と言う)」が均等になっている場合と瘀血(不要な血液)や水滞(不要な水分)がなく気血に滞りがなくスムーズに流れている場合の2つが挙げられます。
【 原因 】
・ストレスや生活習慣により「陰」が不足すると「陽」はそのままの状態もしくは過剰になってしまうので陰と陽の均等が取れなくなります。そうなると「陽」自体は昇る性質があるので、いわゆるのぼせた状態になってしまうことで血圧が上がると考えています。(*厳密にはのぼせだけではありませんが。)
・不要な血液や水分が体内に発生することで気血の流れが悪くなり、気血の流れを良くするために心臓の活動を活発になることで血圧が上がると考えています。
【 施術方針 】
@脾胃の働きを改善させて消化吸収を良くして各臓腑に栄養物を送れるようにすることです。
A腎の働きの改善を主体に施術を行います。身体を冷やす物質を増やして身体を温める物質と量を同じにすることです。
B不要な血液(瘀血)・不要な水分(水滞)があれば取り除きます。
@・A・Bが全身調整に当たります。
C頭部に集まっている「身体を温める物質(これを陽と言う)」を減らすために頚や肩のコリを取ることです。
D対象療法として頸動脈に鍼を浅く刺して置鍼するのも一時的ではありますが血圧を安定させるには有効です。
以上を行うことで身体の状態が良くなってきます。良くなることで血圧も安定します。血圧が安定することで血圧上昇によって起こる症状も取れてきます。

【 施術経過 】
・頸・肩のコリを取るだけでも個人差がありますが、一時的に高血圧が改善しやすくなります。
・血圧を安定させるには@とAとBの施術が必要になります。ただ数回の施術では難しいので、理想は週1回か2回を数か月定期的に続けると血圧は安定しやすいですが、現実的に続けての通院が難しい方は来れる時は詰めて来て頂き、来れない時は少し間をあいても良いので確実に来て頂くことで血圧が安定しやすくなります。

セルフケア

・血圧をコントロールするための注意点は現代医学とほぼ同じになります。やはり日常生活習慣の見直しが重要になることは間違いないと考えます。

・上記に加えてセルフでやれるツボがないかどうかですが、いくつかありますので挙げてみます。個人差がありますので詳細は担当の鍼灸師の先生にお尋ねくださいね。
〇足三里穴
足三里穴
足三里(あしさんり)穴は血圧の調整する働きの他に「養生」にも応用できるという鍼灸では万能のツボと言われています。位置は外膝眼(がいしつがん)の下指4本分下のところにあります。
日頃より体調維持の為にいつも行って頂けると効果的です。すごくおススメします。
〇労宮穴
労宮穴
労宮(ろうきゅう)穴は心包(しんぽうと呼び、邪気から心を守る役割があります。)経のツボで、体調不良でコントロールができなくなった陽の物質が心包を犯すことのを止める作用があります。このツボにお灸をするもしくはセルフで軽くマッサージをすることで、血圧の安定が図れます。
〇関元穴
関元穴
関元(かんげん)穴はお臍から恥骨に向かい指4本分(5cmほど)にあるツボになります。このツボは脾経・腎経、肝経の交わるので、胃腸の働きを調整するだけでなく、腎や肝の働きを調整するので血圧調整の効果が期待できます。その他、足三里穴同様養生にも適しているのですごくおススメします。
【 詳細ページ 】
・東洋医学の考え方

■まとめ

・治療について。鍼灸では高血圧を一時的に下げるやり方から血圧安定まで幅広く対応できます。本態性高血圧は生活習慣と食生活の習慣を見直しながら、鍼灸施術を行うことで血圧の安定を図ることが期待できます。2次性高血圧の場合は、鍼灸単独ではなく薬との併用が必要になります。

・高血圧の予防は現代医学、鍼灸共に生活・食生活の習慣の見直しとストレスといかに上手に付き合っていくことになります。
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