■この記事の筆者は当院の院長です。院長プロフィールはこちらへ。公開日:2022年3月31日 更新日:2022年9月9日

【 解説 】 刺絡療法

鍼治療
今回のテーマは「刺絡」という特殊な鍼の手法について説明します。
「刺絡?何それ?ただでさえなにされるか分からなく不安なのに・・・」と思われる方は「刺絡という治療法とは何かの説明」・「適応・不適応かの説明」・「メリットとデメリットの説明」・「症例」まであげていきますので是非一読して下さい。

■刺絡という治療法とは

古代九鍼
・簡単に言いますと、鋭利な鍼先で患部の皮膚表面(専門的には絡脈と言います。)を傷つけて、血を2・3滴軽く絞り出すことで、「経脈の気の流れを良くすること」・「患部のうっ血(内出血)を散らす」・「炎症を鎮める」ための1つの施術手段として用います。刺絡で使う鍼は普段使用する鍼とは全く違います。普段使用する鍼は豪鍼というものになりますが、刺絡をするには鍼先が鋭利である鋒鍼(三稜鍼)を使用することが多いです。なお代用としてランセット(血糖値を図る時に血を1滴出す医療器具)でも可能です。

■刺絡が適応するのは・・・

適応
では刺絡はどんな時に適応するのかと言うと主に4つあります。
@捻挫・打撲など外傷で、患部が炎症を起こしている場合。
A帯状疱疹後の神経痛で患部がヒリヒリチクチクした状態。(ただし慢性化してものでは効果が期待できません。)
B高熱がある時。
C血圧が高く肩がひどく凝る場合。
D痒みがひどい場合。
上記の他にも適応はありますが、東洋医学で言う実証(分かりやすく言えば体力がある状態)であれば刺絡は適応になります。

■刺絡が適応しないのは

不適応
主に3つあります。
@血圧が低い場合。
A炎症のない場合。
B顔色が青白い場合。
上記3つは東洋医学で言う虚証(分かりやすく言えば体力がない状態)になります。この状態で刺絡をすると、症状が悪化することが多いので禁忌です。

■メリットとデメリット

メリットとデメリット
■メリット
メリットを得るために必要になるのは東洋医学的な診断が正しくかつ刺絡施術を適切に行われた場合のみになります。それを前提にして話します。
@痛みについて比較的早く軽減を実感することが多いです。
A高熱(扁桃腺炎など)については比較的速やかに解熱されることが多いです。1つ例を挙げれば体温が38.8ある場合に「商陽穴」を刺絡した後、しばらくして検温すると38.0に下がる場合があります。(刺絡の効果には個人差があります。)
■デメリット
・刺絡をしてはいけない場合に刺絡してしまうと気持ち悪くなる。ひどいと脳貧血を起こしてしまいます。

当院の対応

・2017年5月現在刺絡の対応はできていません。
しかし最近身内で刺絡をした方がいいケースに出会えたので、施術経過をみて導入するかしないか検討します。その後施術経過を検討した結果、2018年3月より刺絡を対応するようにしました。刺絡した場合別途料金が発生します。刺絡の料金はこちらへ。

■症例

【 症例1 女性 42歳 】
■予診票からの患者様の情報
2020年1月下旬頃にせまい通路を通ろうとして物を隅によせた後、数時間経過したら右膝が痛くなった。どんな時に痛むのかという問いには膝の曲げ伸ばしする時に出るとのこと。過去に患った病気は狭心症・高血圧・腱鞘炎・腰痛・子宮筋腫があります。
■東洋医学の観点からみた患者様の状態 続きを読む
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