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鍼灸の症例検討|不眠について
【 公開日 】 2021年9月24日 】 【 更新日 】2024年1月4日
予診票から得られた情報
【 初検時のデータ 】
・現在、最も辛いことは2・3週間前から午前1時半もしくは午前3時半に目が覚めてしまい、それから眠れなくなって困っています。
・当院に通院される前に睡眠薬や抗うつ剤を服用していましたが、睡眠薬は初検の3か月前に、抗うつ剤は1か月前に中止しています。
・過去の病歴として「非結核性抗酸菌症(数年前)」。3・4年前にパニック障害を発症しています。
・鍼灸の経験の有無ですが、過去に1度だけ鍼は経験があるが、灸は一度も経験がないとのことです。
【 初検時の身体状況について 】
・食べる・排泄という生命維持に重要な事について確認したところ、
「食欲はあり、食べる量も多いそうです。尿については1日10回以上とやや多く、でも量は少ない。夜中に1度トイレに起きる程度とのこと。大便は1日1回あり、便の硬さ等について特に異常はなく普通とのこと。」で体力的には問題はないですが、やや頻尿で腎の働きが良くないのかなという印象を持ちました。
・腹診ですが、中脘穴周辺と鼠経上部に抵抗があり、下腹部に少し硬結が存在している。以上から脾胃の働きが悪くなっていることと瘀血の存在が認められます。
・脈診は全体に細渋。左右の関上の脈が渋っている状態になっていてこれも瘀血の存在を認める所見になります。
以上を総合的に診ると、東洋医学では
「脾虚で瘀血」という証が立ちます。
・鍼灸の経験の有無ですが、過去に1度だけ鍼は経験があるが、灸は一度も経験がないとのことです。
【 初検時の身体状況について 】
・食べる・排泄という生命維持に重要な事について確認したところ、
「食欲はあり、食べる量も多いそうです。尿については1日10回以上とやや多く、でも量は少ない。夜中に1度トイレに起きる程度とのこと。大便は1日1回あり、便の硬さ等について特に異常はなく普通とのこと。」で体力的には問題はないですが、やや頻尿で腎の働きが良くないのかなという印象を持ちました。
・腹診ですが、中脘穴周辺と鼠経上部に抵抗があり、下腹部に少し硬結が存在している。以上から脾胃の働きが悪くなっていることと瘀血の存在が認められます。
・脈診は全体に細渋。左右の関上の脈が渋っている状態になっていてこれも瘀血の存在を認める所見になります。
以上を総合的に診ると、東洋医学では
「脾虚で瘀血」という証が立ちます。
施術方針及び施術経過
@脾胃の働きを改善して瘀血を排出すること。
A肩と頚並び肩甲間部のコリを改善すること、以上東洋医学的考え方による根本な治療による施術と現代医学でいう自律神経の調和を図ることの施術を行います。
・改善するためには週2回程度の施術で3か月の施術期間が最低必要だと説明。説明した結果納得されていました。
【 施術経過 】
・1回の施術で脈の渋が取れてやや滑脈になっていたので施術効果は得られたと判断しました。
・3回目(初検日より10日経過)の施術から証を変更。脾虚瘀血→腎虚で瘀血としました。そうしたことで徐々に睡眠薬を減らすことができ、施術中にもウトウトするようになってきました。
・約1か月(11回目の施術)経過した頃には非結核性抗酸菌症による咳の回数が減り始めてきました。約2か月(16回目の施術)以降では睡眠状態がだいぶ改善されてきたので週1回に減らして様子をみました。
・さらに2週間後(18回目の施術)で睡眠状態がほぼ完全に良くなってきましたのでこれを持って治療を終了しました。
・約1か月(11回目の施術)経過した頃には非結核性抗酸菌症による咳の回数が減り始めてきました。約2か月(16回目の施術)以降では睡眠状態がだいぶ改善されてきたので週1回に減らして様子をみました。
・さらに2週間後(18回目の施術)で睡眠状態がほぼ完全に良くなってきましたのでこれを持って治療を終了しました。
■考察
・個人差はありますが、不眠は鍼灸治療で改善が期待できます。・改善するには肩首背中の筋肉の緊張を取るだけでは難しく、全身調整による根本治療が必要になることがほとんどです。